イスラエルの至宝メタルバンド Orphaned Land

初Orphaned Land

イスラエルのメタルバンド、Orphaned Land は、1991年には結成されていて、1994年には、フルアルバムデビューしているので、結構活動歴は長いバンド。で、そのバンドの、4枚目のアルバム、The Never Ending Way of ORwarriOR を聴いてみた。ちなみに、私は、この作品が Orphaned Land 初体験。

Steven Wilson

で、初めて購入してみた理由の一つは、Porcupine Tree の Steven Wilson がミックスを担当しているというのも一つ。クレジットには、ミックスだけしか書かれていないのだけれども、それ以上に時に楽曲にも関わっているとのこと。

ジャケット

ジャケットには、いくつかの異なる宗教的な衣装をメンバーがまとっているという、印象的なものも使用されている。宗教に疎い私にはよくわからないのだけれども、ここでは、衣装とそれぞれの祈りのポーズが異なる宗教となっているらしく、このバンドの宗教に対する批評的な姿を現しているらしい。

コンセプトアルバム

で、作品本体ですが、コンセプトアルバムになっていて、3部構成。
いきなり、ヘブライ語による中東な雰囲気むんむんに、期待が膨らむ。
コンセプトの全貌は今ひとつ理解出来ていないのだけれども、78分超に、変幻自在のサウンドが詰め込まれている。

中東色

やはり、このアルバムの（というかこのバンドの）最大の良さは、彼らのルーツを感じさせる中東色サウンド。例えば、3曲目の"Bereft in the Abyss"では、アコースティックに歌い上げる落ち着いた展開の曲なのだけれども、このアコースティックサウンドには、中東の色合いが存分ににじみ出すそれ。
より激しさをみせる5曲目"The Path Part 2 – The Pilgrimage to Or Shalem"なんかも、ドラミングなどには、激しいメタルを感じさせるのだけれども、ギターラインやボーカルメロディー、ハーモニーなどには、やはり中東の味わいが詰まっている。

激しく、リリカルに

そう、激しい楽曲、静かな楽曲にかかわらず、随所に入り込む中東色が、しかし、単にキワモノ的に引用されているのではなくて、全体のメタルサウンドにしっかりと融け込んだそれとして、取り入れられていて、これが印象的。アルバム全編にわたって、このメタルサウンドと中東伝統サウンドの融合が見られる。
で、さらにあるのは、これは Steven Wilson の味わいではとも思わせるのだけれども、アコースティックなリリカルなパートのこの美しさ。これが、絶妙。

欧米ではあり得ない

というところで、欧米のバンドではあり得ないタイプのサウンドがここに仕上がっている。別に、欧米のサウンドが悪いという訳ではなくて、メインストリームではない地域のサウンドであっても、その地域性を生かしたサウンドを作りあげると、そこに全く違う価値観が創出されるというすばらしい事例ではないかと。

構築美系

まぁ、というところで、ちょっと違う味わいのあるサウンドを追い求めている人には、このOrphaned Land サウンドはもってこいだと思う。で、あと、全体のメタルサウンドとしては、構築美系というのか、パワーやスピードという要素よりも、楽曲としての展開の面白さを追求することに力点が置かれているようなそんなサウンド。
ということで、アルバムを集中して聴き通すのは結構疲れるバンドではありますが、しかし、それだけ聴き応えのあるアルバムということですので、個人的にはお薦めです。
というところで、私は彼らの旧譜をこれからあさっていかなければと思っています。

ちなみにDVD

ちなみに、私は、DVD付きエディションを購入したのですが、このDVDはメインはドキュメンタリーというか、インタビューというかです。で、そこでの会話に使われている言語は中東系の言語なので、字幕の英語を読み続けないといけないという代物です。DVDを集中して見る習慣が無くて、いつも流しっぱなしでたまに見るという鑑賞スタイルの私には、ちょっと面倒。
それから、DVDボーナストラックとして、ゲストボーカリストを迎えた楽曲が1曲収録されています。

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