Valravn はすばらしき、ラディカル・トラッドバンド

Valravn

Valravnは、デンマークをベースとするトラッド系のロックバンドで、フェロー諸島出身の女性ボーカリストを擁するバンド。そのバンドの2nd アルバム "Koder paa snor"を聞いた。

ポスト・ラディカル・トラッド

随分前といわなければならないほど日々が過ぎ去ったけれども、かつては、Garmarna や Hedningarna などといった、トラッドをベースとしたロックを奏でるバンドたちが登場して、そして、その伝統に則りながらも破壊的で力強い演奏をするその衝撃的なサウンドから、ラディカル・トラッドと呼ばれるバンド達が存在した。しかし、その活動は長く続くことはなく、絶賛されたまま自然消滅したかのような状態になり、もはやその復活はないと半ば諦めの境地にもなっていたのが、このタイプを愛したファンの心象ではないだろうか。

颯爽と

しかし、そこに登場したのが、このバンド、Valravn。時にハスキーに、時にアンニュイに、時に叫ぶように歌い上げる女性ボーカリスト Anna Katrin Egilstrød の印象的な声に導かれて、そのトラッドサウンドは、力強く、そして、柔らかく、地を踏みならすようなリズムなどを用いたサウンドは、懐かしさと斬新さが絶妙にミックスされている。

Gang Gang Dance

そのサウンドが、デジタルサウンドも利用しながらの、先鋭感があるために、全く異なるところで進化していっている Gang Gang Dance などのトライバルなデジタルサウンドとの類似性も感じさせる物がある。

サウンド

そう、もうここまで書いたら細かいサウンドについては議論する必要は無いだろうけれども、まぁ、少しだけ。
Hurdy Gurdy とフルートなどの管楽器、そして、ボーカルによって、民族感あふれるサウンドのベースが構築されているのだけれども、それをプログラミングされたリズムセクションが支えているというとことで、上述のような伝統と斬新さが混じり込んだサウンドが形成される。基本はこのサウンドで力強く、そして、幻惑的に押していくのだけれども、時に環境的なサウンドで幽玄な様子を混ぜ込んできてフックを聞かせるところが、このアルバムのアルバムとしてのすばらしさ。各それぞれの曲もとても印象的なのだけれども、こういったアルバムとしての完成度の高さもまた、すばらしい。