チェ 28歳の革命 を見る。



2部作

革命家として、若くして亡くなったことも手伝ってか、カリスマとして伝説的な存在となっている チェ・ゲバラ。その半生を追った映画がスティーブン・ソダーバーグ監督の手により、2部作として制作された。そのうちの第一部、”28歳の革命”をみた。ちなみに、第二部”39歳 別れの手紙”もすでに公開開始している。


革命へ

カストロと出会い、そして、キューバに乗り込むところから始まり、バハマを制圧する直前までの戦闘の様子を中心に、その後の政治家としての映像を間に挟みながら展開する。
時に、激しい戦闘シーンも出てくるが、それ以上にクローズアップされていると感じられるのが、チェ・ゲバラ自身の物の考え方。率いる革命軍に対する発言などに見られる彼の思想。誰もが平等であること。そして、革命の過程において、一般市民・農民に危害を加えてはいけないという思想。一方で、しかし、ゼネストのような交渉的な手法では政権を倒すことは出来なくて軍事的に倒すしかないという強い意志。前者の側には、彼の博愛的精神が感じられるようだけれども、つまりは、冷徹な思想を貫徹出来る現実的な人間であるという要素が強くて、それが後者の意志に繋がっていると感じられた。


伝説

しかし、チェ・ゲバラはあまりにも伝説化し、アイコン化しているために、その本質はむしろ不明確であり、私自身も、詳細にわたってはチェ・ゲバラの為したことは知らない。故に、この映画で描かれている姿が何処までそのまま受け入れていいのかはわからないのも事実ではある。なぜ、ここまで、彼が伝説となったのだろうか。それは、よくわからない。


イムリ

しかし、タイミングがあまりにもタイムリーというのは強く感じる。チェ・ゲバラが批判するアメリカという思想は、この現在の金融恐慌の背景にもまさに当てはまるといっても過言ではない。しかし、依然として、我々は欲望から解放されることは出来なくて、批判しながら、批判される側の立場に甘んじているのも事実かもしれない。
そう、チェ・ゲバラのように、冷徹に徹しきることはあまりにも困難というべきだろうか。


勝ち取ったもの

そして、キューバは、圧政から解放された。つまり、ある種の自由を勝ち取った。これは、多くの国で見られることだと思う。そして、翻って日本を見たときに、どうだろうかと。思うに、自由を自ら勝ち取ったという歴史があるようにはあまり感じられない。江戸からの明治への展開や、戦後の展開などがあるけれども、そのいずれもが、半ば外圧の力によるところが強くて、市民革命的ではないように感じる。
多くの国では、国民のデモ活動などが盛んである一方で、日本にはそれが薄いというのは、そういった歴史も関連するような気がする、いや、むしろそういった国民性がそういった歴史を代々作りあげたというべきなのかもしれない。


理想

我々は、理想をどこかにもって生きているのだと思う。そして、その理想を時に自ら裏切り、そして、その理想の障害を外部に押しつけながら、現実を生きている。何かそういった理想への探求を強く感じさせられる映画だった。
この現在に対して、何処まで理想を語れるだろうか。どれほどの理想を保持しているだろうか。そして、どこまで現実に妥協し、理想に背を向けているだろうか、私は。

関連リンク:
映画『★CHEチェ 28歳の革命 | 39歳 別れの手紙』公式サイト
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発売元 : 中央公論新社
発売日 : 2008-02 (文庫)
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