オープンソースやフリーウェアでここまでの数値解析ができてしまう



1.オープンソースの恩恵
オープンソースのおかげでいろいろなことが安価に可能になっていますが、これって、どちらかというとネット世界に限定されているように思ってしまうところがありますが、数値演算・解析領域でもかなりのものがあるので、少しまとめてみようと。


2.それではご紹介
2.0 OS
OSは、もちろんLinuxで、これから紹介するソフトはほとんどLinuxで動くはず。一部Windowsでも動作可能のようだけれども、このさいLinuxで組んでしまいたい。
2.1 統計解析
まずは、統計解析。これは、R(Googleで検索)がいわずも知れたところ。GUIを搭載したS-Plusのフリー版で、コマンドベースのソフト。ただし、出力はグラフィックでも出てくるので、十分、というか、場合によっては、コマンドベースの方が使いやすい。
公式サイト:The R Project for Statistical Computing
日本語解説サイト例:R による統計処理
といったところで、このソフトで、多変量解析だとか多重回帰分析だとか、ほとんどありとあらゆる統計解析が可能。

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2.2 数式処理・数式計算
続いて、数式処理ソフトで、MAXIMA(Googleで検索)。有名どころはMathematicaあたりになるのだけれど、あるレベルの処理であれば、同等の使い勝手。
公式サイト:Maxima - A GPL CAS based on DOE-MACSYMA
日本語解説サイト例:数式処理システム Maxima
といったところで、微分積分、正弦余弦計算だとかに利用。FFTモジュールもあるので、時間軸データを周波枢軸データにしたりも可能。

はじめてのMaxima
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2.3 行列演算
行列演算になると、FreeMat(Googleで検索)MatLabがこの分野の商用ソフトでは有名だけれども、こちらも、あるレベルの処理なら十分これで行けるだろう。
公式サイト:FreeMat
いろいろと演算処理したくなると結果として、何かと行列演算に頼らないと行けなくて、ある時、行列演算を考えた人はすごいと感動したものだが、それが、ソフトでちゃちゃと出来て、そして、さらに、オープンソースになってしまうとなると、これは感動もひとしお。
2.4 データベース
少し、毛色を変えてみて、データベース。こちらは、既にいろいろなものが知られているけれど、私のよく使うものは、MySQL
公式サイト:MySQL AB :: The world's most popular open source database
日本語解説サイト例:日本MySQLユーザ会
なぜデータベースかというと、まずは、いろいろと数値処理しているとファイルが莫大になって、しかも、バリエーション管理が大変なので、データベース化して、パラメータちがいを管理する。で、さらに、テキストベースデータをそれぞれのソフトへ持って行ってデータ処理するという手もあるけれど、データベースに入れてしまって、データベースから処理してしまう方が何かといいというか、結局いろいろなソフトにデータを行き来させることになるなると思うので、それならば、データベースをインターフェイスにしてしまえばどうだろうということになる。

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2.5 流体解析 CFD
で、ここからもう少し深くに入り込んでいって、流体解析。流体解析事態の基礎方程式は論文にかなり掲載されているので、目新しい理論でなければ、その方程式を適切にプログラミングしていけばできあがる、故に、いろいろな機関で独自コードが存在していたりするが、オープンソースで公開されているものとなると、OpenFOAM。
公式サイト:OpenFOAM: The Open Source Computational Fluid Dynamics (CFD) Toolbox
ついにここまできたかという感じ。
2.6 いやもっと来ている
というのが、日本発の工学系シミュレーションソフトウェアの開発として行われていた、ADVENTURE。構造、流体、熱、磁性解析のソフトが存在する。
公式サイト:ADVENTUREプロジェクト
2.7その後継
その次に行われたのが、戦略的基盤ソフトウェアの開発。この中では、NEXSTという次世代構造解析システムが開発されたりしている。これはすごくて、フリーメッシュによって、亀裂進展まで解析してしまおうというものまで含まれる。他にも、LES法を取り入れた流体解析から、バイオ、ナノなどのシミュレーションツールが開発され公開されている。
公式サイト:戦略的基盤ソフトウェアの開発
2.8その後継の後継
それを受け継ぎならがら、さらにさらに拡大しているのが、RSS21。
公式サイト:RSS21 革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発 > トップページ
これはすごくて、流体系ではLESでの乱流場音場騒音の解析も可能となるソフトウェアにまで進化していたり、さらに、最近かなり実用に入りつつあるマルチフィジックスを扱えるソフトの開発も行われている。ここで行われているものが、実用段階に入れば、かなりすごいことになると思う。


3.つまり
ということで、最後の方はかなり深いところまでいってしまったが、いずれにせよ、かなりのもののコードが手にはいるということ。逆に、コードベース過ぎて、コンパイルがめんどくさいとかもあるかもしれないけれど、これはすごいことだと思う。オープンソースとはいえ、非商用制限が付いていたりするので、どの状況でどう使うかはしっかりとライセンスチェックの必要はあるけれど、例えば大学で使うだとかには有効だろう。それから、職場でもしこれらのソフトに類似した商用版を使っているのなら、例えば、家では、このオープンソースのものを使って、ある程度オペレーションを勉強しておいて、仕事場ではその成果を発揮するとかということも出来るだろう。何せ商用版は高すぎて、自前で買うなんてもってのほかだし、ライセンス管理も厳しいからそっと家で勉強するのは不可能に近い。となると、これらのソフトってとても有益。特に、最近は、ろくに勉強する時間を会社ではくれないので、これをサービス残業というのかどうかというところはあるけれど、そっと家で勉強するしかない場合が多々あるので、そこで、これらを投入するというところ。まぁ、そうこうしているうちに、会社の環境よりも自分の家の環境の方が充実してきてしまうということになる場合もあるのだけれど。