安部公房全集 その2

少しずつ書店から消え始めて、すこしずつ古本屋へと購入可能範囲が
移行しつつある安部公房全集ですが、
刊行開始された1997年以来、10年近い歳月をかけて、
遂に最後の29巻にまで、到達しました。

もう少し、読むともう終わってしまうのだと思うと、この10年近い歳月習慣も
また終わりを告げてとなって、何となく寂しいような気分にさえもなってきます。

読めば読むほどに、様々な安部氏の思考にふれるほどに彼の思考の仕方の
面白さには、とても感銘を受けます。晩年のクレオールに関する考え方なども、
非常に興味深いところ。もっともっと生きていて、もっと多くのものを残してほしかった
とおもいながら、彼が残した多くのものの貴重さを同時に再認識しながら、
最後の巻を読み進めています。

混乱の中で、突然見つけた点のつながり。
それを私の脳みその中に起こしたのはまさしく、安部作品でした。
それ以来、私の体中に文学や芸術の持つ力に対する信頼が、
流れ続けています。