Cynic のデモ音源はアンビエントな美しさも伴って
Cynic
プログレメタルの元祖とも言うべきバンド、Cynic。1980年代後半ごろから活動を始め、デスメタルをベースにしたサウンドに、テクニカルな演奏と複雑な曲構成で演出し、プログレッシブでデスメタルな独特のサウンドスタイルを構築した。しかし、活動そのものは不安定だったこともあり、何処か伝説的なバンドのようにも言われたバンドでもあった。
その狭間に
近年は、活動を活発にしており、2012年にも新作がでるのではという噂もある Cynic だけれども、1990年代中盤に活動を休止していた時代に、創設メンバーでもある Paul Masvidal と Sean Reinert によって結成された Portal という Cynic の延長線上にあるバンドのデモ音源が、このたび Cynic 名義でリリースされることとなった。アルバムタイトルはずばり、「The Portal Tapes」。アンビエント的
このバンドには、Sean Malone は参加していない。また、女性ボーカルが入っている。この女性ボーカルが力強く歌い上げるタイプではなくて、ささやくように妖艶に歌うタイプ。男性ボーカルも一部入るが、グロウルはない。サウンドの全体は、メタルベースではあるけれども、破壊的な激しさを持つようなサウンドではない。むしろ、アンビエント的とも言いたくなるほど、雰囲気に満ちていて、激しい音使いをしながらも、直線的に音が飛んでくると言うよりは、環境を音で満たしていくという印象。その雰囲気に先述の女性ボーカルのスタイルがマッチしている。
ポストプログレ
ある意味では、このサウンドスタイルは、現在増えてきたポストプログレなサウンドの先駆けともいえそうな印象。音によって、ダイレクトに聴き手を刺激するのではなくて、雰囲気を作り上げて、その中に聴き手を浸らせ、より感情の内部を刺激していくような感覚。そして、うまくテクニカルな演奏を絡めてくるので、テクニックお披露目祭りにはせずに、効果的に雰囲気を高めていく。
なので、90年代中盤の音源とはいうものの、全く古さは感じなくて、むしろ今の先端の音にも感じられる。
新しい
というところなので、Cynic の破壊的な攻撃性を期待すると、肩すかしを食らうかもしれない。さらに進化したメタルサウンドを求めているようなタイプには、刺激的に感じるサウンドだと思う。とにかく、直線的な音ではないので、聴き込んでいく必要はあると思う。ただ、このダルな雰囲気が、結構ハマルと心地よくて、なかなか抜け出せなくていい感じ。
関連リンク:
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