IFF2011 「未来は資本主義でないだろう」などなどを観た



昨日に続き

ということで、昨日に続き、イメージフォーラムフェスティバル2011に行ってみた。今回私が観たのは、映像作品三作品で、「未来は資本主義でないだろう」「今日のマルキシズム」「モニュメンツ:レドモンド・エントウィスル 」。
いずれも現代社会の資本主義や都市の再考を促そうとするような作品。


未来は資本主義でないだろう

まずは、「未来は資本主義でないだろう」。何とも刺激的なタイトルだけれども、内容はそれほど刺激的ではない。ニーマイヤーによって建築されたフランス共産党の本部ビルについて言及しながら、近年では支持率を落として行っているフランス共産党についても言及した作品。その建築物とともに過去の遺物となりつつあるとも感じられるフランス共産党。その存在を、しかし、あえて取り上げているところに意味があるのだろう。


今日のマルキシズム

続いて、「今日のマルキシズム」。これは、旧東ドイツにてマルクス-レーニン主義についての教鞭をとるなどした女性へのインタビューで構成されている。自分たちが信じ、そして、さらに教えていた信条が、否定される感覚とはどういったものなのか。さばさばしているようにも思える返答の中にも、何か言い切れないものがあるようにも感じる。


モニュメンツ:レドモンド・エントウィスル

「モニュメンツ:レドモンド・エントウィスル 」は、少し毛色が変わって、建築や都市にまつわる今は亡きアーティスト、ロバート・スミッソン、ゴードン・マッタ=クラーク、ダン・グラハムの三人が現代の街によみがえり、都市や建築について振り返る。かつて言及した都市や住宅というものは、しかし、その意図などは無視してさらに変化を遂げて行っているようにも感じられる。振り返る隙もなく変化する現代への問いかけなのだろうか。


政治信条

この三作品に共通して感じられるのは、もはや何も疑う暇もなく突進しているとも感じられる資本主義社会への疑問の投げかけという要素か。共産主義に関して言えば、しかし、かつてのそれはやはり早々に破綻するしかなかったそれだと思う。毛沢東主義にしても、マルクスレーニン主義にしても、それは机上では、理想論上では完璧なそれだと思う。しかし、世の中は、そのようにすべてが思い通りには決していかない。完璧を装うために、そこにはむしろ、矛盾が生じてしまうのがこの不完全な人間による世界。そして、その不完全さによって、むしろ人間が存在しているのだから、理想論というのは、根源から成立する可能性のないものである。それは、都市工学についてもそうなのだろう。しかし、だからといって、それらの理論をむげに切り捨てて、ビルトインスタビライザーという神様を信じ切って、なすがままであってもいけないというのもまた事実だと思う。
そんなことをこの三作品を観ながらつらつらと考えておりました。


関連リンク:
ロバート・スミッソン - Wikipedia
ゴードン・マッタ-クラーク回顧展 Whitney Museum of American Art
Dan Graham - Wikipedia, the free encyclopedia
建築マップ フランス フランス共産党本部ビル French Communist Party Headquartes
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