伝説的ロックバンド The ENID の奇跡の映像作品

英国の秘宝

独自レーベルで活動する英国の秘宝プログレ系バンドというと、現在では、Marillion が代表的ですが、少し時代を遡るとそこに燦然と輝くのが今回紹介する、The ENID。最盛期が、70年代後半から、80年代前半という、時代背景的には、プログレが衰退しつつある頃だったがために、不遇な時代を長く過ごすことになったバンドでもある。
そんな、不遇さや、レコードレーベルとの対立も重なり、独自のファンベースを作りあげ、後にインディーズと呼ばれるような活動スタイルを築き上げてもいた。

復活

しかし、1980年代後半には、初期のバンド活動は完全に終了していまう。1990年代から2000年代は、常に、再活動の噂が立ちながら、そして、時には、ジャブのようにアルバムを発表しながらという活動ではあったものの、いずれも単発に終わるか、中途で断念してしまうかに終わり、本格的な活動再開にはなかなかたどり着かなかった。
しかし、そんななか、2009年ごろから、少しずつまた活動が活発化し始め、フェスへの参加など、ライブ活動も再開し、そして、遂に、2010年、まともなフルレンスアルバムとしては、実に13年ぶりぐらいとなる新作をリリースした。

DVD

とここまで、書きながら、今回紹介するのは、その新作ではなくて、そのリリースに先だって、彼らのウェブサイトオンリーで発売されている映像作品、”HAMMERSMITH ODEON 1979”というライブDVD。
この作品は、ライブ盤としてリリースされている ”Live at Hammersmith ODEON 1979”と同じ時期の映像で、というか、連続講演のなかの日にち違いなだけのはずで、まさに、その絶頂期の映像となるもの。

プロフェッショナル

しかも、この映像は、映像としてのリリースももくろんで収録されたものが元ソースなので、さすがに経年劣化の影響は受けているものの、ブートレッグ的な発掘映像とはレベルが違う、といっても、そこそこ劣化した映像と音ではありますが。当時は、残念ながら、レーベルの倒産などもあり、お蔵入りになったらしいが、しかし、これが一級の映像作品なのです。

圧倒的

このときのメンバーは、The ENID その人である、Robert John Godfrey をはじめとして、Francis Lickerish や Dave Storey が参加。キーボード2人、ギター2人、ベース1人、ドラム1人、曲によってゲストフルート1人という構成のちょっとしたロックオーケストラ。
なんと言っても、スゴイのは、当時のキーボードスタイルである築城型キーボードセットの間に、キーボード奏者が2人で入り込んで、時に、2人羽織のようにしながら、築城キーボードの隙間を2人で交錯しながら演奏するというスタイル。キーボードプレイにも様々なスタイルがあるけれども、こんなのは初めて見ました。

名曲

選曲の方も、これ、初期の名曲ばかり。なかでも、やはり、圧巻なのは、The Song of Fand。大々的なキーボードオーケストレーションを導入したこの曲は、シンフォニックロックの頂点にある楽曲といっても過言ではないほどの感動的な作品。しかも、この曲の演奏では、その築城キーボードの隙間に最大4人が入り込んで、演奏するというビジュアル的な衝撃も相まって、感動せずにはいられない。この壮大な楽曲が見事に奏でられている様は、すばらしいの一言です。この雰囲気の音はこのバンドにしか作ることの出来ないそれです。

演奏

そんな、Fand をはじめとして、とにかく、いずれの楽曲についても演奏は完璧。ロックの殿堂とも言うべき Hammersmith Odeon でライブを行った人気と実力はさすがです。さらに、当時から貫禄のある Robert John Godfrey が結構MCでしゃべっているとか、あと、アンコールで Wild Thing をお茶目に歌っている姿なんかも、違う意味で貴重。

超貴重

過去、The ENID 関連でDVDがリリースされたことがあるけれども、圧倒的にこちらの方がクオリティーが高い、まぁ、プロフェッショナルな撮影なので当然ですが。この演奏は、これは個人的な思い入れもあってだけれども、70年代のプログレ有名どころ五大バンドをも凌ぐものだと思う。なので、超貴重です。
音楽活動を続けるための経済状況が常に危機にあり、さらには、常に音源の権利関係のもめ事で正当な利益を得られない彼らを救うという意味でも、是非とも、彼らのサイトから入手してください。

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