Lunacy : ヤン・シュヴァンクマイエル



1.Lunacy
さて、Lunacyは、チェコの奇才ヤン・シュヴァンクマイエルによる作品。関東地区では、新宿K'sシネマ渋谷シアター・イメージフォーラムにて2006年12月22日ぐらいまでの予定で上映されている。もう終わってしまうと言うこと・・・。


2.タイトルそのまま
これは、驚異的な作品。シュヴァンクマイエルは元々よく知られた映画作家であり、芸術家ですが、私自身は、これがはじめてみる映画。わざと時代感覚を明確にしない、主人公のおかれている立場の社会的背景も明確にしない、そういった前提条件のうえに構築されていく狂気の世界で、描き方というか全体の構成としては、ほぼ完璧(完璧でないことによる完璧さ)という気がする。文学作品でも、このレベルの完璧さを誇る構成だと思う(つっこみどころが全くないというわけではないけれど)。主人公の悪夢が様々なところで鍵として描かれながら、それの悪夢がおとずれる状況は変化し続ける、いや、変化し続ける状況に呼応して悪夢が訪れるというべきかもしれない。そして、その悪夢がトリガーとなり、次の事態が発生する。そして、どんどんと狂気のそこへ追い込まれていく。


3.逃れるべくもない、ホラー
はっきり言って、見た後は少し黙り込んでしまう。見ている側も、完全に追い込まれていく感覚。一体どの何がより正しいのか。しかし、時代背景も主人公および登場人物の社会的背景も明確にされていないが故に、見ている側には、どうにも判断することは出来ない。ただ、その状況に対して、どの立場に立てばいいのかさえ、わからない状態に追い込まれる。逃れることの出来ない現実。もし我々が、そのような事態におかれたとしたら、いや、むしろ、既におかれているのかもしれないとしたら。


4.影響
エドガー・アラン・ポーマルキ・ド・サドから着想を得ての作品ということだが、確かに、さまざまな人物設定などには、そのような印象があるが、全体の構成というか、作品の印象という面から言うと、どこか、安部公房の密会の印象に近しいものも感じる。どこまでいっても、どうにもならない、誰の何を信じればいいのか、いや、信じるべきものさえもなく。


5.もう一つの方法
自由すぎるわけでもなく、拘束しすぎるのでもなく、もう一つの方法とは一体何なのだろうか。


6.シュヴァンクマイエル レトロスペクティブ
ちなみに、新宿K'sシネマでは、2006年12月23日〜シュヴァンクマイエル レトロスペクティブとして、過去の作品の上映会が実施される
詳細の日程は、こちら参照ください。
とりあえず、アリスは必見かな。


関連リンク:
Lunacy 公式サイト
新宿K'sシネマ
渋谷シアター・イメージフォーラム
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ヤン・シュヴァンクマイエル アリス
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評価平均 : /11人
一番正しいアリス
うわー気持ち悪いなこの作品
黒い笑いが欲しい方へ
本当に不思議の国。
やっぱりエグイ。
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