日本「半導体」敗戦 を読んでみた



ネットで話題で

さて、ネット界隈で見つけた”日本「半導体」敗戦”という、まぁ、ビジネス書というのか、なんというのか、を読んでみた。
普段は、こういった本は、読まないのだけれども、たまには、そういうのもいいかなというところ。


おおまかに

大まかにいうと、そのタイトル通り、一度は栄光を掴みながらも、衰退したまま復活の兆しの見えない「半導体」業界のその要因を、かつては、その内部にいた人が分析的に書いた書籍。


部外者

私自身は、半導体業界にいるわけではないので、この話がどの程度客観性があるのかや、偏りのある意見なのかは判断しかねる。ということで、以降の私自身の感想は、この書籍の指摘をとおして、技術的な領域で働いている私自身の感覚であって、半導体業界的な話ではありません。


敗戦

商品を作って売るということを仕事にしていると、とかく、コストと性能の戦いの中に入り込んでいくことになる。薄利多売の中に利益を削り取られていくのか、それとも高性能なものを作って利益率は高いにもかかわらず、売り上げが伸びずに、尻つぼんでいくのか。どのように生き抜いていくかということになる。


変化

ここで、重要なのは、その産業構造の変化をどう見きるかだと思う。その商品の創成期には、えてして、高級品でも売れて、売り上げが伸びる。しかし、やがて、一般化されていくと、急激に価格が落ちて、価格競争になる。そういった市場編かを生き抜けるかどうかは、その変化を生産側、開発側がどこまで認識しているかによるし、時に運もあると思う。その変化を見逃して、成功体験から逃げ出せず、ずっと技術者独りよがりの高級品戦略の末に、市場とのあんま地位から脱落していったのが、半導体業界の話と書いてあるように読み取れた。
これは、結果論だという揶揄にさらされる可能性はありえるかもしれないけれども、一方で正しい指摘ではあると思う。海外の話は私自身は経験がないので分からないけれども、普通に仕事していて思うのは、中途半端な技術者魂が物事を間違った方向に導く様な気がする。純粋に技術のみを立ち上げようとしているならば、本当に技術を構築すべきだし、世の中に売りたいのであれば、独りよがりを廃して、ひたすらに泥サライのように粘りある商品作りをしないといけない。だけれども、製品に対して、必死に取り組むわけでもなく、かたや、技術を構築するという本当に困難なことに立ち向かうわけでもなく、なんか、ちょっと技術っぽいことでかっこよく扱われて、その結果さらに商品が売れて、自分の名声に繋がれば、というような中途半端な態度をとってしまう人が残念ながら技術者の中には結構いて、そして、そういった発想が蔓延しすぎると、世の中の変化を取り逃がして、一方で、世の中の変化を作り出すほどの者もできあがらなくて、結局物事を敗北にいたってしまうのではないだろうか。


技術者意識

そして、そういう中途半端な状態であるにも関わらず、技術は高いんだが・・・という発想に陥ってしまうと。でも、それって、技術的には、確かに量産品よりも高いかもしれないけれども、お金を払う価値のある技術レベルではなくて、結果、売れない中途半端なものを作っては、敗北する羽目に陥るのだと思う。
そういった、中途半端な技術者意識はなくさないといけないのではと。本当に技術の高いレベルを目指すならば、自分をよく魅せるためにやるべきではないのではと。一方で、量産品を作るという泥臭いことを悪く見る風潮をなくすべきで、世の中に出る品質というのは生半可なことでは作れないことをもっと強く感じ取るべきだと思う。自分が買った物が、すぐに壊れたらどう思うだろうか?例え他の機能はいい製品であったとしても。


マチュア

結局使い切れない製品を作ってしまうということは、それは、アマチュアの仕事で、お金を貰うに値しないということ。例えば、プログラミングで言うと、自分だけが使うプログラムというのは比較的簡単に作れるけれども、多くの人が、困難無く使えるレベルにまで作りあげるのは、とりあえず動くプログラムとは雲泥の差がある。とりあえず動くけれど、実は行くtか不具合があるプログラムであれば、どんなに凄くても意味はないだろう。この作者が書いていることをそのまま信じていいのであれば、結局日本の半導体業界には、アマチュアが多くの占めていたということだと思う。


これから

これから、世の中はさらに困難になると思う。その中で、必死に生き抜く方法論を見いだしていかないといけない。売れない物を作っているのに、給料をもらえるサラリーマンの立場であるということをちゃんと自分に言い聞かせないといけないと思っている。もし、ベンチャーであれば、売れないとたんに破綻するわけで、売れなくても給料がもらえるという(もしくはどこかの破綻しかけの企業なのに年金をもらえるという)、甘えた考えの中にぬくぬくとしていてはダメなのだろうと思う。


ちなみに

ちなみに、ほとんどが私の勝手な思いを書いたエントリーになってしまったけれども、最後にもう一度この本について。
文章は、それほどうまくなく、そして、斜に構えた印象がぬぐえない文体です。そして、何故か所々横文字が入ります。というところで、読みやすい文章ではないし、必ずしも納得できる内容でもありません。図表も綺麗ではありません。だけれども、これがメタ的です。そのようなレベルで、製本的にも紙質的にもいまいちだけれども、この時代にはあった内容であることは間違いありません。売れるということは、こういう事なのですといういい見本に、この本自体がなっています。




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発売日 : 2009-08-20 (単行本(ソフトカバー))
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¥ 1,000 在庫あり。
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技術を知って初めて書ける、本当の経営分析本
基本的には正しいと思うが
同様の問題は日本中の産業がかかえている
すばらしい本です
日本の本質的弱点を浮き上がらせた書です。
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