デヴィッド・リンチ インランド・エンパイア



1.複雑怪奇
さて、世界の奇才映画監督の一人、デヴィッド・リンチの最新作、インランド・エンパイア恵比寿ガーデンシネマで見てみた。ちなみに、3時間ぐらいある大作である。


2.平行し分裂し
予想通りの、意味不明さ加減。複数のテーマが関連しているようなしていないような、そんな状態で、繋がりながら分岐していく。あるところと、別のところが、そう繋がるのかと思わせながら、だけれども、つながりを確認したところで、謎が解けるわけではなくて、とりあえず繋がっただけという状態。そして、その謎めいた複数の平行分裂世界は、そこに何かの意味を持たせると言うよりも、その繋がりながらも、繋がらないその状態の矛盾を、まるで、デヴィッド・リンチ自身が楽しんでいるかのようでもある。


3.抱えた矛盾
しかし、それは、ある意味では、年を経れば経るほど、矛盾を抱え込んでいく我々自身の存在のようでもある。あのときのあの出来事が、だけれども、今はこうだから、結局だから、こう考えているんだと、ある場面ではいいながら、だけど、今はこういった立場だし、こういう環境にいるから、だからこうなんだよと。ある意味では、言い訳に過ぎないようなことを心に抱きながら、今を受け入れて、もしくは、他人に受け入れさせて、矛盾がある事はうすうす気づきながら、だけれども、生きる事に影響する因子があまりにも多すぎて、気づけば、どうにも説明のつかない矛盾ばかりを抱えた状態に陥って、そして、最後は強烈に幼年時代を参照してみたりする。


4.ひたすらに矛盾
そういった、矛盾ばかりを抱えながらも、前に進んでいるのかどうかもわからないままに、だけれども、とりあえずちょっとした終焉にはたどり着くそんなもの。そう、そんなもの何だと、我々の持つ矛盾を、そして、そこに無理矢理何かの意味づけを持ったどこかハッピーエンド的なものによって、その矛盾を一気に解消してしまおうとするかのような、そんな思考をどこか暗示しているようにも思える、そんな作品。


5.ちなみに
ちなみに、裕木奈江が端役で出ている。そして、美術手帳10月号には、デヴィッド・リンチ特集とともに、その裕木奈江のインタビューが載っている。そして、パリ・カルティエ現代美術財団では、デヴィッド・リンチの個展が開催されていた。ちなみに、デヴィッド・リンチは、映画だけではなくて、絵画であるとか、音楽方面での作品作りも行っている。


6.世の中には
世の中には、こういった分裂気味な物を、それでも何とかコントロールして、作品に仕上げる能力を持った人間がいるというのは、とても面白い。
そして、そんな意味不明な作品がそれなりに評価されるというのも、またなんだか面白い。


関連リンク:
INLAND EMPIRE
恵比寿ガーデンシネマ
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.デヴィッド・リンチ
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