中村宏 図画事件 : 東京都現代美術館



1.図画事件
1953-2007までの中村宏氏の作家活動を網羅する展示で、この作家がこれまでにどのようなものを描きながら、現在に至るかがわかる展示。
当初は、ルポルタージュ的で政治的な絵画から始まり、ポスター的もしくはアニメ的な作品、女学生、望遠鏡から、タブロー絵画へとの変遷。


2.好き嫌い
絵画のベースは、具象をデフォルメして若干抽象を交えたような画風、シュールレアリズム的でもある。初期の、曲線を多様するというイメージが強くて、これが個人的には結構すき。一方で、中期のアニメ的というか女生徒が出てくるあたりは、どうもあまり好みではない。ここから、さらに展開してタブロー会がというか、後期のとても抽象的な感じは、これまた好きという感じ。きっと、鑑賞者によって各時代の好き嫌いがあると思う。そんな感じで、時代によって印象が異なる面もある。


3.一貫性と変化
一方で、使用される断片のイメージが共通しているところは面白い。特に汽車とその車窓については、終始一貫していて登場している。だけれども、先述の通り時代によって画風の変化があるために、その印象が変化するところが面白い。で、この変化に注目すると、ある意味当然かもしれないが、時代をとても表しているような気もする。初期のルポルタージュはそのまだ確立しきらない時代を象徴しているようだし、アニメ的ポスター的作品には、ある程度の確立と工業をベースにした発展を象徴しているようだし、そこから、概念的な作品というのは、拡散しすぎたとらえどころのない時代を象徴しているようでもある。


4.一貫してみるということ
いずれにせよ、この間の大竹伸朗全景もそうだったけれど、一つの作家の変化を通してみることが出来るというのは貴重な体験。


5.邱黯雄(チウ・アンション)展
それから、地下の会場では中国の若き芸術家、邱黯雄による映像作品も展示されている。新山海経で約30分の展示。William Kentridge のアニメーション作品に近い印象のもの。
折角30分の作品なのだから、堅い椅子ではなくて、もう少し座りやすい椅子を用意して、リラックスして見ることが出来るようにしてくれればいいのにと思ったりもした。


関連リンク:
dLINKbRING.Art.東京都現代美術館
東京都現代美術館:MOT
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望遠鏡からの告示―中村宏画集 (1968年)
発売元 : 現代思潮社
発売日 : 1968 (−)
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