現代美術周辺の2006年を自分のブログ記事を通して振り返る



0.その2
さて、プログレ界に続き、現代美術周辺を自分のブログ記事を中心に2006年を振り返ってみる。ただ、先にお断りは、自分の所在地の関係もあり、関東地区のことしか話題に出来ません、ということと、現代美術と偉そうに書いてみても、勝手に好きなだけですので、的外れなこともあるかもしれません。


1.事件たち
とりあえず、様々な出来事が、特に、このところ予算削減の荒波のなかで、目の敵にされた感のある美術界は、様々な出来事があった。
1.1 ICC
まずは、なんと言ってもNTT関連のメディアアート美術館ICC。2005年をもって、閉鎖された(去年の記事、たとえば、ICC閉鎖?その5を参照)。その衝撃にweb2.0の衝撃を合わせるという無茶な内容で、美術の理想的な姿って何だろうということを考察する一連の記事を書いてみた(例えば、Art2.0 というごまかしのタイトルで(その1))。と、そうこうしているうちに、突如ICC リニューアル発表!!された。いくつかのシンポジウム(例えば、ICC:オープンサロン)を経た後に、大幅に無料空間を増やして、小さく企画展を実施するというスタイルで現在に至っている。存続したこと自体も良かったし、無料空間を作り出したのも良かったように思う。だけれど、企画展のインパクトは小さくなった印象。シーンを引っ張る存在という印象が消えて、とてもこぢんまりしてしまった印象もある。
1.2石原発
最近も話題になっている都知事ですが、カルティエ現代美術財団コレクション展での発言も物議を醸した。基本的に己が全てな感じで、それが実行力にもなり、ただの、エゴにもなりなのでしょうが、ただ。はっきりしていることは、本人が思っているほど、彼はクレバーではないし、センスもないということだと思う。


2.展示
ではではと今年も可能な限り訪れた美術関係の展示での印象を。
2.1予算削減vsネームバリュー勝負
今年も、また、美術界には、若干の予算削減感を感じさせる一方で、ビッグネームたよりなところも感じた。ダリ回顧展:上野の森美術館はかなりの混みようだったりした。内容もそれなりに良かったけれど、どこか名前頼みのところがあって、作品の展示には工夫がなかった気がする。これは個人的なことかもしれないけど、2004年にあったマチス展には、新たな発見を感じたけれど、今回のダリ展には新たな発見はあまりなかったという印象。逆に、スーパーエッシャー展:Bunkamura the Museumは思った以上に面白かった。
そん中、今年最大の落胆展示が、ルソーの見た夢、ルソーに見る夢:世田谷美術館。正直言って、これこそ、名前だよりのみ。予算がない中でなのかもしれないが、これじゃ、余計に人がこなくなるだけじゃないのといいたい。
2.2ベスト
逆に、今年の展示で一番印象に残ったものは、というと、いまいちなくて、一つは貴重な体験でもあった、マシュー・バーニー(Matthew Barney):クレマスター・フィルム・サイクルの全作品上映。それから、建築系の展示で、オペラシティ:伊東豊雄 建築|新しいリアル
2.3各国の現代美術
個展というレベルだと衝撃が少なかったけれど、逆に国をキーワードにした現代美術のグループ展示が面白かった。
スイス現代美術展 リアルワールド−現実世界
森美術館:Africa Rimix
舞い降りた桜 ザハ・ハディドとめぐるドイツ銀行コレクション
プリズム:オーストラリア現代美術展:ブリヂストン美術館
個人的には、現代美術は、とてもクロスジャンル的な要素が強くて、それが面白さに繋がっていると考えているので、様々なタイプの作家をうまく一つの展示にまとめたものにとても興味がある。キュレータが何を模索しているのかがわかるような展示が個人的には好き。


3.訃報
美術界にも、訃報が。メディアアートの先駆者の死去。さよなら ナム・ジュン・パイク展:ワタリウム美術館が追悼として開催された。


4.来年
ということで、やっぱり、美術界は、”Art2.0・・・”の連載記事で議論してみた内容が依然として課題なのだと思う。いかにして、社会の中に存在するか、一方で、誰にも見つけることが出来ないけれど美術界はしっかりと見ている、というような部分も必要であることは間違いない。誰にでもわかることそれだけではないはずなのは、誰にも明らかなのだけれど、それをいかにして実践するのか、とても難しいけれど、2007年はまた、想像もしなかった新たな何かに出会えることをきたいしつつ、どうあるべきなのかについて、そっと考察し続けたい。