プリズム:オーストラリア現代美術展:ブリヂストン美術館



1.概要
東京駅から徒歩5分ほどの場所にあるブリヂストン美術館にて、開催中(〜2006/12/3)で早速行ってみる。


2.内容
さて、内容はその名の通り、オーストラリアの現代美術を集めたもの。地域性もあって、アボリジニアートであるとか、それに準じる土着性とアートとの関連性という要素が強い作品が多い。ただ、その要素にこだわりすぎてといえば適切なのかどうかわからないが、確かに地域性という意味ではその価値を認識できなくはないが、それを超える価値を感じさせるレベルまで達していると感じられるような作品は多くなかったというのが正直な印象。
その中で、いくつか興味深いものとしては、第9室に展示されていた作品。アボリジニアートをベースにしながら、西洋抽象芸術的な要素とうまく接続されていて、とても印象深い作品が多かった。
それから、既に現代美術界では有名人になってしまっているパトリシア・ピッチニーニ遺伝子操作などの科学技術と生命の合間を描く芸術家で、今回も奇異な生命体を展示するなどしている。今回の他の作品にあるような地域性からは完全に分離されている印象の作家なので、他の作品とは異質な印象を受ける展示ではあったが。


3.まとめ
今回の展示は、タイトル作品でもあるイマンツ・ティラーズの作品「プリズム」が象徴していて、民族性と現代の狭間(接続、変化)だと思う。オーストラリアという地域自身も、先住民族と移民との2層構造社会でもあることだし。ただ、とみに日本では、そのような民族意識が薄いために(本来はあるのだが・・・)実感に入り込みにくいところがあるかもしれない。逆にそうであるが故に、価値のある展示ともいえると思う。
ちなみに、現在の常設展の方は、20世紀美術の有名どころを並べたという感じで、その工夫のなさにちょっと引いたのだが、有名どころを一通り見てみたいという方にはとても価値ある展示かもしれない。


関連リンク:
ブリヂストン美術館
関連サーチ:
ブリヂストン美術館(Google)
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