Anglagard 的暗鬱継承者 Gosta Berlings Saga による Glue Works
Gosta Berlings Saga
スウェーデンには、そのメロトロンを多用した暗鬱的サウンドでプログレ界では伝説的に語られる Anglagard というバンドがかつて存在した。その後、同様なサウンド傾向を持つバンドがいくつか出てきている。昨今では、Ankdoten や Paatos といったバンドがその傾向のサウンドの代表的バンドといってもいいだろう。そんな傾向のサウンドを奏でるバンドとして、さらに別のバンドが存在していた。そのバンドが、今回紹介する Gösta Berlings Saga というバンドで、その2011年新作、Glue Works。私は、このバンドはその名前も初めて聞いたのだけれども、実は、2004年に結成されて、2006年にはデビューアルバムを発表しているバンドで、この Glue Works という作品は、3枚目のアルバムになる。
驚愕
そして、この作品が、まさに、Anglagard のすさまじいサウンドを継承しながらも、さらに進化したすごみを感じさせるすばらしい過ぎるそれ。ちなみに、プロデューサーには、その Anglagard の Mattias Olsson が担当していて、そのすごさの理由もわかるというもの。インスト
このバンドは、4人組のバンドで、ボーカルレスのインストバンド。ただし、曲によっては、ホーンセクションやチェロなどがゲストで参加。チェンバー的
アルバムは、全編、Angllagard 的暗鬱に満ちているのだけれども、このバンドのサウンドのほうがよりチェンバーロック的な雰囲気が濃い。特に、上記のホーンセクションなどがゲストで入る曲はなおさら。全編冷徹なとげとげしさを感じさせる鋭角なギターサウンドと、それに雰囲気を存分に付け加えるメロトロンを含むキーボードサウンドで構成される。リズムラインも、タイトにと言うよりも、ダルにという要素が強くて、あえてはっきりさせていない輪郭のサウンドがずっしりと響いてくる。
ラスト
そして、圧巻は、ラストの12分強の大作 Sorterargantan。のっけから、鋭角なギターが鈍く響き渡り、Larks Tongue あたりの Krimson を彷彿とさせるサウンドを展開する。そして、その後の展開もすばらしくて、その鋭角でスピード感のあるサウンドから、一転ゆったりとどんよりした鈍い世界をじんわりと展開していく。このあたりの展開も、地味に変拍子をかましてきたりするので、その微妙に取り切れないリズムが余計にその不気味な雰囲気の味わいを深める。そして、再び鈍いリズムラインの上に、ギターが鋭角に響き渡り始めると、前半が終了。ここまででも緊張感満点の展開におなかいっぱいなのだけれども、ここから一転して、柔らかいキーボードのリリカルさサウンド展開へ向かう。チェロによる緩いサウンドがむしろはかなく美しく響き渡り、音が全体へと浸透していく。セピア色な雰囲気の色合いを魅せながらも、それまでの冷たい緊張感の世界から、むしろ柔らかく穏やかな世界を描き上げ始める。ここでは、そのむしろ単調にも感じるリズムが、しかし、世界を作り上げることに貢献する。このあたりのサウンドの雰囲気の使い分けもうまくて、暗鬱一辺倒でも無いあたりにこのバンドのすばらしさとオリジナリティーが潜んでもいる。この曲は、プログレ界においても、名曲として語り継がれるべき曲だと思う。最終盤に向かって地味に盛り上がっていくあたりは、本当に感動的で、パーカッションの響きっぷりとメロトロンとチェロのサウンドが対照的で、しかし、美しくアンサンブルしている。
絶賛
ということで、これ、絶賛です。いや、本当に、このアルバムを私が買おうと思ったのは、たまたま、このバンドのサウンドの一端だけを聴く機会があって、それだけで虜になって購入しました。Anglagard なサウンドを愛してやまない人は、この作品は是非とも聴くべきです。そして、サウンドは同傾向でありながらも、決してただの二番煎じはないので、本当におすすめです。
関連リンク：
Gösta Berlings Saga | "Glue Works" out April 2011 on Cuneiform Records関連サーチ：
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