陽気でシリアスなラディカルトラッド Alamaailman Vasarat



Finland Fest

メタル界では、フィンフェスはよく知られらフィンランドフェスティバルですが、それと時を同じくして、もう一つの Finland Fest が開催されていました。こちらは、2011年5月28日 渋谷 O-Westにて。登場バンドは、Vartina と Alamaailman Vasarat。Alamaailman Vasarat のほうは、2009年10月にも来日公演を果たしております(こちらを参照)。


遅れて

リハーサルの関係で、会場が30分以上遅れたこともあり、スタートも30分ほど遅れ。
かなり若い番号を持っていた私は、まんまと最前列を確保。ということで、絶好の位置での鑑賞が始まります。


Vartina

まずは、Vartina から。一時期、ラディカルトラッドバンドがそれなりに存在していたのだけれども、そんなバンドの一つであり、かつ、そんなバンドの中でも、最も日本で知名度が高いバンドであるのが Vartina。3人の女性ボーカリストを擁するバンドで、この3人による迫力満点であり、かつ美しいボーカルワークが大きな特徴であるバンド。バックのバンドは、ギター、ドラム、アップライトベースアコーディオン


口が絡まりそうな

この3人の女性によるボーカルなのだけれども、単にうまいだけではなくて、フィンランド語による巻き舌も含む早口言葉のような息接ぐ暇もないようなボーカルラインを表情豊かに歌い上げて、かつ、3人で見事なハーモニーを作っているところがまずは圧巻。また、様々なストーリーを持っているであろう楽曲を叫び声なども交えながら演出していたりもして、ライブパフォーマンスとしても面白いそれ。実は、Vartina のアルバムは聴いたことが無いのだけれども、知らなくても十分に楽しめる展開だった。


演奏

そして、バックの演奏人なのだけれども、これがまた誰もがうまい。実際、それぞれのメンバーは、Vartina のみならず、多くのバンドで活躍するフィンランドでは名うての名手ばかりらしく、確かにそれもうなずける抜群の演奏。特に、リズム隊のドラムとベースは以上に的確。このバックの演奏がかっきりしているおかげで、3人の女性ボーカルパフォーマンスが見事に引き立つという展開。
アンコールも含めて約1時間を完璧にこなしきったというところで、これは、Vartina の作品はもっとちゃんと聴くべきだと思った次第です。


Alamaailman Vasarat

それぞれのバンドメンバー自らも登場してのセットチェンジが行われて、本日のお目当て、 Alamaailman Vasarat の登場。中心人物 スタクラ様のその漫画のような風貌の登場だけで、一気に盛り上がる。このスタクラが噂の超低音サックス、チューバックスとサックスを担当。もう一人のブラス奏者がトロンボーンを演奏するのだけれども、このトロンボーン奏者は細くて背が高いのに対して、スタクラがずんぐりむっくりなので、この対比がいつ見ても面白い。ちなみに、そのほかのメンバーは、ディストーションも出来るチェロ奏者二人と、ドラム、キーボードの変則的6人構成。この編成によって、攻撃的なバルカン的トラッドブラスロックを展開してくれるわけです。





超攻撃的

というところで、他のバンドではまず聴けないなんとも不思議な世界のスタートです。ディストーションの効いたチェロが前面に出るパートでは、メタル・クリムゾンを思わせるようなひずんだ弦の音による攻撃性を見せつけて、しかし、ブラスパートが入ると不思議な雰囲気のあるバルカンロックへと移行していく。同じフィンランドだからってことなのかもしれないけれども、アキ・カウリスマキ監督の映画世界をちょっと思い起こさせるところはある。


ユーモラス

チューバックスのぶりぶりとした低音やひずんだチェロの弦の音が不気味に激しく響き渡るかと思えば、しかし、ブラスの二人がおどけたパフォーマンスをする、ちょっとムード歌謡みたいなユーモラスなサウンドへと変化していったりもする。こういった展開も彼らの面白いところ。さらに、MCでのスタクラが、まずは、もごもごとしていて聞き取りにくいところが面白い上に、適当な曲紹介をするものだから、どこまでがまじめな紹介なのかよくわからなかったりする。そんな感じで、曲にもMCにも独特のユーモアが入り込んでくる。


アンサンブル

しかし、そんな攻撃性やユーモアがありながらも、演奏そのものはかなり完璧。決めるところは決めまくるので、単におどけただけとか、単に破壊的なだけではなくて、演奏としての完璧さがそこにあるからこそ、そういった要素がより際立つと行ってもいい。
そんな演奏に酔いしれているところで、あっという間に終了。アンコール含め約1時間くらいというところで、もっと聴きたかったなと思わす展開。ではあるけれども、しかし、十分に楽しめたのもまた事実。


堪能

というところで、Vartina と Alamaailman Vasarat という似て非なるラディカル・トラッドバンドのライブだったわけですが、それぞれにそれぞれの面白さを、しかも、とてもすばらしい演奏で魅せてくれたというところが、まずは大きな満足のところであり、それぞれのオリジナリティを存分に堪能させていただきました。いやー、いいライブでしたよ本当に。
というところで、今度では出来れば、Hungary Fest とか開催していただいて Napra とか呼んでくれるといいな-、なんておもったりした次第でした。

関連リンク:
Alamaailman Vasarat - Home Page
Värttinä - Home
【THE MUSIC PLANT】アラマーイルマン・ヴァサラット
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