さらにすごくなった現代チェンバーロック YUGEN の iridule



YUGEN

YUGENはイタリアのバンド。2006年にデビューアルバムを発表したのだけれども、その当時もその完成度の高い複雑怪奇なジャズロックサウンドが大きな話題となった。
そんな、YUGENの2ndアルバム、iridule がリリースされたので聴いてみた。





大所帯

プロジェクト的なバンドということもあって、かなりの大所帯バンド。前作からの変化までは理解し切れていないのだけれども、21人ぐらいがラインナップされている。
曲毎のラインナップがどうなっているのかは情報がないのでわからないのだけれども、音的には、この21人が一斉に演奏する場面はすくなくて、曲ごとにラインナップがかわっているということではないかなと思うけど、どうなのだろう。


硬派チェンバーロック

いきなり不協和音から始まるこのアルバムは、まさに硬派なチェンバーロックのお手本のような作品。あの、Univers Zero の作品群にも匹敵するほどの出来。Picchio Dal Pozzo が彼らとライブで共演するというのも納得のそれ。ある意味では、ArtBears 的というところもあって、アヴァンロック的でもある。
全編にわたり、不穏な音を、時に小刻みなフレーズで、そして、時にゆったりとしたサウンドで、並べていくような音作りで、メロディーやリズムというものを超越したサウンド


聴き所満点

前作もすばらしいかったけれども、今作は、さらにさらに良くなっている。なんというのか、前作はすごいのだけれども、引き込まれるような聴き応えが少し足りないという印象だったのだが、今作は、複雑で訳のわからないサウンドなのだけれども、聴いているとぐいぐいと引き込まれていく。
ボーカル曲を入れるなど、曲のめりはりも効いている。かといって、曲毎にイメージが散逸するということはなくて、不穏な世界を常にキープしている。


小刻みな

とても聴き応えがあるポイントでいうと、小刻みなフレーズを高速でアンサンブルするサウンド。このあたりの小刻みなギターフレーズが Thrak 期の King Crimsonサウンドも若干想起させる。この小刻みなフレーズによるアンサンブルがとても印象的。
このフレーズが、時にギターで時に、時にマリンバで、時にキーボードでと様々な楽器で奏でられているので、その音の差異もなかなかの聞き所。


叙情

そんな緊張感のあるアンサンブルの一方で、ゆったりとした曲調が間に挟み込まれる。シンプルで、牧歌的なボーカル曲 ice や thaw などは、それまでの曲の雰囲気を一気に変えるそれ。この雰囲気を間に挟むというのも、このアルバム全体の流れにいいメリハリが入っていい。


絶品

というところで、この YUGEN の新作 iridule は、さらなる驚きを感じさせてくれる作品で、絶品といってもいいと思う。すばらしすぎるチェンバーロック。あまりにものアンサンブルで音が複雑に絡み合うために、聴いているとどの音がどうなっているのかをとらえようとする脳が混乱に陥っていくのだが、それが、やがてなんともいえない快感に感じられてくる。まさにそこがこのタイプのサウンドの聴く楽しみでもある。
チェンバーロックなので、メロディアスな高揚感やエッジの効いた激しさといういわゆるロック的な要素はないのですが、それとは全く別次元だけれども高揚感を感じさせてくれる作品で、すごくいいです。


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