横浜に行ったついでに、束芋を見てきた

横浜美術館

アートの街として公共機関ががんばっている横浜にちょっとした用事があって、そして、丁度よく時間が余って、そして、丁度良く横浜美術館で束芋展がやっていたので見に行った。2010年3月3日まで開催。

束芋

束芋というちょっと不思議な名前のアーティストは、1975年生まれの女性作家。日本的な家屋などを題材とした昭和的なテイストのあるアニメーションを作成する作家。ただ、そのアニメーションは当然、ただ昭和風というだけではなくて、そこには生活の表面的な平穏さの裏側にある残虐さであるとか、ユーモアであるとかが織り込まれている。

個展

そんな束芋さんの個展は、以前は原美術館で開催されていたものも見に行ったことがあるのだけれども、比較的イメージしやすく興味を持ちやすい作品であることもあって、結構な人気。で、その個展が横浜美術館で開催。

断面の世代

今回の展示のタイトルは、「断面の世代」。断面という言葉からは、いくつかのイメージが出てくると思うけれども、まさにそのいくつかのイメージが込められたタイトルであり、展示なのだと思う。
最初は、新聞連載の作品の挿絵作品で、物語が物語として異なる情景が不思議な連結を持ちながら展開されていく様が描かれたもの。
そこから、今回の展示の中心作品とも思えるある団地の断面を描いた作品。人体をモチーフにした作品から、水面近傍における生物を題材にしたような作品。

ある意味

安定感がある作品であるという感じもする展示だったというのが印象。最初に束芋の作品を見たときの新鮮さは当たり前だけれどもなくて、そのぶん安定感を感じるようにはなっている気がした。逆に言えば、刺激的な何かを得るという印象が無かったというところでもある。それが、つまり断面なのかもしれない。断崖ではなくて。なんとなく、まったりとしている。抽象的なようでそれほど意味不明ではなくて、シニカルというほどでもない淡々とした世界。悲劇があるわけでも歓喜があるわけでもない日常。
そう、こんなものかもしれない、断面なんて、ってな気がした展示でした。