日仏学院にて、「幼女と煙草」の作者ブノワ・デュトゥールトゥルのお話を聞いてきた



日仏学院

フランス文化を伝える施設と簡単に表現していいのかよくわかっていないのだけれども、日仏学院というところに行ってきた。目的は、最近このブログにもエントリーした、「幼女と煙草」の作者ブノワ・デュトゥールトゥルさんの講演会があったので聞きに行ったという次第。


ざっくばらんに

1時間半ほどの講演会で、小沼純一さんという大学教授のかたとの対談という形式。フランス文学の中での彼の立ち位置や、何故そのような立ち位置を彼が選択しているのかというような彼のバックグランドに関する概略の話から、彼が母国では書籍も出版しているという音楽関連の話で、さらに、今回日本語版が出版された「幼女と煙草」の内容についてのお話へという展開で、堅苦しく理論をまくし立てるというような感じではなくて、ざっくばらんな対談という感じ。


立ち位置

彼の文学的立ち位置については、フランスというと、ヌーヴォー・ロマンの流れが今もあるというところで、テキストの形式、エクリチュールにこだわった堅苦しい現代文学というのが主流であるとのことだけれども、彼自身は、そのような形式的な立場ではなくて、物語を語ることに主眼を置いているとのこと。
とはいっても、これを型どおりに受け取るのは、多分過ちで、レベルの差異があることを認識しておかないといけないとは思う。「幼女と煙草」も軽い作品でありながら、構成にはある程度気を使っている。
ただ、日常の話題を一般的な目線で捉えるようにしているという理解のしかたを重視すべきだろう。代替研究すぎて日常から乖離しているものは、結局自己満足にしかならない役立たずであるというのは、科学技術であろうと芸術であろうと同じこと。変な例えをすると、Windows XPみたいなものがそうで、理論的にはすばらしいけど全く役に立たないわかりやすい例。で、確かに、この視点は重要だと思う。いらないものは誰がなんと言おうと事業仕分けしてしまった方がいい。


音楽

音楽関連の話もあって、特にオペレッタが好きであるとのこと。オペレッタって、なんか聴いたことがあるような無いようなよくわからないものだけれども、比較的風刺的な要素を持つものであるらしい。
このあたりのユーモアというのかシニカルなものが好きというのは、それは、「幼女と煙草」に見られるブラックユーモアと連結する。


などなど

その他いろいろと面白いことはあったのだけれども、簡単にまとめてしまうと、日常にしっかりと根付きながらも、そこに芸術家としての独自の視点を追加することで、自己満足研究でもないしかといってただの記録でもない、作品を作りあげるように努めている作家であり、その作品には、彼の好むブラックユーモアや風刺というものを盛り込んでいっていると、そういうことだと思う。




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発売日 : 2009-10-09 (単行本)
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