Porcupine Tree の新作 The Incident はプログレ側へ

新作

当初はプログレ界のみから注目される存在であった Porcupine Tree も徐々にそのサウンドの洗練もあって、寄り多くのファンを獲得するようになっている昨今、そんなより注目される状態でリリースされた2009年新作が、The Incident で、早速聴いてみた。

2枚組

この作品は2枚組で、1枚目には組曲形式で1枚で1曲という構成の曲が収められていて、2枚目には、この組曲にはマッチしなかった物の、リリースするに足る出来と判断された作品が収められている。

プログレ回帰

全体のサウンド傾向からすると、1枚目は1枚目で1曲の作品ということもあって、プログレサウンド回帰が強く感じられて、前作に見られたヘヴィーロックやメタルからの影響度が薄れているという印象。特に音圧が弱まっていて、音響ではなくて、ボーカルが全体を支配しているという印象が強い。特に徐々に後半へ行くと、animals あたりの Pink Floyd サウンドに近い印象を感じさせるサウンド、特にギターサウンド、が展開されている。
この辺のサウンドの印象は、昔からのファンからすると、おおきな違和感ではないけれども、最近ファンになった人からすると、少しピンとこないかもしれないとも思う。

明快なサウンド

そんな事もあって、陰鬱という要素は特にサウンド面からはそれほど感じられなくて、むしろ、明快という印象のサウンドになっている。初期から中期あたりにあった、英国秀才青年の持つ皮肉混じりのウィットが曲に乗っているという印象が復活しているといってもいいだろう。曲によっては、口ずさめそうなサウンドであるのだけれども、一方で歌詞には様々な感情を感じさせる。

肩を張らずに

ある意味では、サウンドの先鋭度は後退しているというところもあるかもしれない。ただ、一方でとがりすぎたサウンドでないが故に、聴きやすさが同居した凝ったサウンドとなっているので、何気なくかけっぱなしにしておくというのにも丁度会うサウンドでもある。

往年ファン向け？

そういう意味では、昔からのファンにとってのほうが評価しやすいサウンドであるのかもしれない。

ちなみに

ちなみに、この作品にも豪華版があって、彼らのサイトから購入出来る。豪華ブックレットや5.1ch ミックスが入っていたりするようだ。
しかし、近頃のこの豪華版ブームは、いろいろなバンドがやっているけれども、これは、CDの売り上げの低下に伴って、むしろ、ファンにはよりお金を使ってくれということなのではと邪推してみたりもする。まぁ、ファンにとっては選択肢が増えるということはありがたいので全然問題無いですが。

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