Systematic Chaos : Dream Theater

1.Limited Edition
プログレメタルの雄、Dream Theater の2007年新作、Systematic Chaos がリリースされた。通常版と限定版があって、限定版はDVD付きで、DVDにはアルバム収録のドキュメンタリーとアルバムの5.1chサラウンドミックスが納められている。

2.静かな下り道
全体的な音は、今までの延長線上。大作である、"In the Presence of Enemies" が二つに分けられて、最初と最後を飾り、その間に7曲が挟み込まれる構成。
で、感想としては、まぁ、悪くはないという感じがするのだが、正直言って "Metropolis Part2" を頂点として各アルバムごとに少しずつ下り坂を下りていっているという印象で、今回の作品もまた登りに転じる事は出来ていない。

3.とはいうものの
下り坂であるもののそれなりなレベルの作品には仕上がっている。それに、焼き増し感覚はなくて、少し目先を変えながら新たな方向性を提示してはいる。演奏アンサンブルの面白さであるとか、曲展開の激しさは相変わらずすばらしい。そして、ここ数枚のアルバムでは様々なバンドの影響を感じさせる曲が入っているが、今回の作品では、MUSE を思わせる楽曲が登場。このあたりは、巧みに他の要素をうまく呑み込みながら、一本調子に陥らないようにしているともいえる。

4.キラーソング
DTのアルバムって、アンサンブルのすさまじさなどテクニックが目につくけれど、結構アルバムごとにキラーソングとも言うべきメロディアスな曲があったりしてこの辺を実は期待しているファンも多いと思う。ただ、今回のアルバムではそこまでキラーといえる曲がないのもちょっとインパクトを弱めていると思う。あえていうと、"Forsaken" がそれに当たるのだと思うけれど、ちょっと力不足。

5.ということで
まぁ、そこそこという印象。随所に、断片的におもしろパートがあったりするし、狙いとしては悪くはないと思う。単純なノリもあるし、ボーカルパートも多くて、歌もの、コーラスものとしての面白みもある。アンサンブルもいいし。だけれども、やっぱり楽曲そのものの強さがもう一つで、高い評価は出来ない。