魂の城 カフカ解読:残雪
1.カフカ本
さて、いつの間に、世間の本屋さんにカフカ関連の書籍が増えてきているような気がするのですが、”魂の城 カフカ解読”もそんな中の一つ。
2.残雪って
下のリンクを見ていただくともう少しわかると思いますが、残雪とは、中国の作家で、ペンネーム、少々特異な世界を描くことから、中国の女カフカなどという、なんとも適切なような不適切なような形で表現されることも在る作家です。残念ながら、彼女の小説はほぼ絶版状態なので、古本で手に入れるしかないという状況。
3.満を持して
そんなこともあって、彼女がカフカ分析を行うというのはまさに理にかなっているというところということで、本書が出版に至ったというわけ、だと思う。
4.内容
とはいうものの、個人的には、非常に残念な内容にしか思えない。あまりにも、各々の状況を説明しすぎているというか、様々なところに作為があって、それを大いに説明しきろうとするという形式で、評論が続くのだが、その評論手法自体がかなり違和感がある。どんな作家の作品に対しても、そういう評論は不適切だと思うし、まして、カフカ作品に対しては、作為と説明という方法論はおかしすぎるように思う。もっと、大局に捉えながら、そのメタ的なところを解説するという手法であるべきだと思うのだが、どうなのだろうか。あえて、説明に説明を重ねるという方法論をとることで、新たなカフカ像を描こうとしていると無理に説明できない句もないかもしれないが、どうも・・・。さらに、その説明の内容そのものもどうもそれは違うのではないかと思うところが多々ある。
5.残念
そんなわけで、ちょっとこれはお奨めできない、個人的な意見ですが。それどころか、この評論を読んでしまうと、作家としての実力さえも疑いたくなってしまうが・・・、とはいえ、唯一私が読んだ彼女の作品、”突囲表演”はなかなかいい作品だったと思う。
関連リンク:
現代中国文学小屋
Powered BY AmazoRogi