万華鏡にように憂いがエモーショナルに響く Panther

Pain of Salvation

影のあるプログレメタルなサウンドに魅力のあるスウェーデンのバンド Pain of Salvation.
Daniel Gildenlow の多才さもあり、多彩なサウンドを見せるバンドでもある。
そんな彼らの2020年新作 Panther がリリースされたので聞いてみた。

Panther

サウンドの印象は、まずそのサウンドが更に多色になっていることに驚く。
モダンな要素も特に取り入れながら、一方で彼らの初期を感じさせるような
直球的なメタルな荒さも見せつける。
そしてそのどのサウンドもとても変化に富んだ万華鏡のような音色。

ボーカル力

その変化に富んだサウンドの中を歌い上げるDaniel のボーカル表現力が、
ここでまた更に説得力をました感がする。
ときにその上例のあるメロディーがエモーショナルに響き渡り、
聞き手の感情を煽りに煽る。
これぞ、まさに Pain of Salvation だという表現力。

回帰ではなく

ある種原点回帰的な印象もあるのだけれども、ただの原点回帰ではなくて、
様々なさんウドスタイルを自分のものにした上での回帰であり、
音の面白さが単純ではない。

名作

数々の名作を持つ Pain of salvation だが、この作品もまた名作の一つと言っていいだろう。
しかし、コロナのおかげで、みんなスタジオ・アルバムに集中できるようになったのか、
今年は、傑作アルバムが多い気がする。

Panther -Ltd/Mediaboo-

Panther -Ltd/Mediaboo-


PAIN OF SALVATION - ACCELERATOR (OFFICIAL VIDEO)

Devin Townsend の楽しさ爆発 Empath Live Volume 1

Devin Townsend

カナダのミュージシャン、Devin Townsend。その卓越したギターテクニックと、ボーカル力に加えて、
独特の音響を作り上げるセンスは、もはや語る必要はないだろう。
そんな Devin 様の新作は、Empath に関わるライブ作品で、'Order Of Magnitude - Empath Live Volume 1'。

トロピカル

宇宙的になったり、様々なライブ演出を行う Devin ですが、今回は、トロピカル。
背景の映像から、服装まで、ハワイアンでも演奏するのかという風情ですが、
もちろん、サウンドは、Devin 様そのもの。
女性ボーカルも加えて、最早どのようなリズムなのかもよくわからないような複雑なサウンドながらも、
シリアスさはまったくない、楽しさが爆発的に広がる演出によって、複雑ながらもただただ楽しい世界を作り上げている。

Empath

楽曲は、そのライブタイトル通りで、最新アルバム Empath からを中心としている。
上記のようにとっても楽しい世界観なので、アルバムの予習はなくとも、存分に楽しめるエンターテインメントに仕上がっている。
ですので、Devin をそれほど知らないという人も、音楽好きならかなり楽しめるライブだと思う。

さすが

まぁ、演奏力と世界観合わせてさすがというしかない出来栄え。
Volume 1 って題されているから、次回作も予定されている。
ちょうどコロナでライブができない期間になったこともあり、バーチャルでも展開されたので、この映像化リリースも楽しみ。

Order Of Magnitude: Empath Live Volume 1 [Blu-ray]

Order Of Magnitude: Empath Live Volume 1 [Blu-ray]

タイムリーすぎる? Hanken の Virus はヘヴィネス

Haken

英国のプログレメタルな実力者 Haken。長尺で物語性のある楽曲を、変則的で独特なサウンドで彩る。
さらに、その複雑なサウンドを完璧に演奏仕切るライブはなかなかの見もの。

Virus

そんな彼らの新作は、Virus。
この時代に合わせたかのようなタイトルのアルバムだが、この状況にともなって作成された作品ではない。
前作、Vectorとは兄弟作品のような関係性とのこと。

激しく

サウンド面は、よりヘヴィーな印象が強い。
ときに、カラフルなサウンドも過去の作品では出してきていたが、
この作品は、カラフルなというようりは、ヘヴィーなという表現があう。
プログレッシブ感というよりは、ヘヴィーメタル感が強く、
カラフルさに魅力を感じていたファンには、少し色違いに感じつかもしれない。

とはいえ

といって、いっぽんやりなヘヴィネスに向かわないのは、彼ららしいところ。
変則的なサウンドは健在だし、終始変化に富むサウンドは聞き所満点。
また、一方で、メロディアスさも彼らの特徴だが、メロディアスな局面も
しっかりと持ってきて、クライマックスを作っていく。

いいですね

今までから少しカラーを変えながらも、彼らの良さを維持し、進化している作品。
メタルファンにもアピールしうるいい作品です。

Virus

Virus

  • アーティスト:Haken
  • 発売日: 2020/07/24
  • メディア: CD

HAKEN - Prosthetic (OFFICIAL VIDEO)

モダニズムと Biffy Clyro 節

Biffy Clyro

ちょっと変則的な感じに、ポップな感じで、MUSE に次ぐミクスチャー系なスリーピースバンド Biffy Clyro
その新作 A Celebration of Endings を聞いてみた。

モダン

サウンドは、結構モダンに処理されている。
彼らのサウンドって、ちょっと懐かしさを感じさせるようなくささを持ちつつ、
ポップで耳に残ろるところになんとも愛着を感じさせられるのですが、
この作品は、まぁ、すでにビッグバンドとなったこともあり、
プロデュースがガッチリ決まったモダンなサウンドな印象。

コーラス

特にコーラスワークには、かなり狙っている感があるといところもあり、
過去からの Biffy Clyro ファンには、ちょっと違うかもと思わせもする。
ただ、やっぱり、彼らの Biffy Clyro ならではなサウンドと、
そして、あっさりとした複雑なサウンド展開は健在。
聴き込めば聴き込むほど、やっぱり、Biffy だねって感じ。

万人受けしつつ

万人受けしつつ、玄人にも支持される彼らのサウンドがここでも洗練が決まっている。
多くの方に聞いてもらいたい作品です。


Biffy Clyro - Instant History (Official Video)

Pixie Ninja のうねる音像 Colors Out of Space

Pixie Ninja

伝説的バンド Anglagard のドラマー Mattias Olsson によるプロジェクトバンド Pixie Ninja。
各種ビンテージ楽器を活用した、陰りのある音像が美しい。

Colors Out of Space

その2作目 Colors Out of Space。
モダンなリズムを持ったサウンドをときにも見せながらも、全体はメロトロンを始めとしたビンテージ楽器による
音響的なサウンドが構築されている。
Anglagard とはもう少し雰囲気は違うが、音の方向性は同じ。

うねり

ときにビンテージ楽器であるからこそでてくるうねるようなサウンドがこれまた面白みを深める。
全体的に10分程度の長尺な曲が多い構成。
そして、最後に来る Strange Days が更に秀逸。
ピアノから始まり、メロトロンの洪水。
たまらぬ。

秀逸

昨今いろんなバンドがいろいろな面白い音をだしてくるけれども、
この手のビンテージ感がありながらも、ポストロック的な音像で感情を煽るサウンドはあまりなく、
唯一無二とも言えるサウンドはとても秀逸。おすすめ。

Colours Out Of Space | Pixie Ninja


Colours Out Of Space

Colours Out Of Space

  • アーティスト:Pixie Ninja
  • 発売日: 2020/07/10
  • メディア: CD



Pixie Ninja Colours out of Space Album Teaser

待ちに待った新作 Protest the Hero の Palimpsest

Protest the Hero

カナダ出身のプログレ・メタルバンドと言っていいのか、ジャンル分けが困難だけど、Protest the Hero
グロウルとクリアボイスを使い分けるボーカルスタイルと、疾走感を持ちながらも屈折するサウンドが面白いバンド。
その久々の新作、Palimpsest を聴いてみた。

変わらぬ良さ

最初に聴いて感じるのは安心感。彼らの彼ららしいサウンドがそこにあります。
ボーカルスタイルも含めたサウンドの疾走感が彼らの最大の良さだと思うのですが、
そこが、このアルバムでも存分に感じられます。
一方で、もう一つの良さは、そこに変化をつけていくところ。
スローパートを入れたり、あえてスピードダウンさせて歌い上げたり。
疾走感が強く出ているからこそ、この緩急がビシッと決まる。

変速

そこにさらに彼らのサウンドを楽しくさせてくれるのが変化球。
一見普通に疾走感のあるサウンドかと思わせておいて、
しっかり聞くと変則的な拍子使いだったり、拍をずらせて入ってくるボーカルだったり。
疾走感があって、そこに乗ろうとするんだけれども、変則的でうまく乗せてくれない感じが、
むしろ、ビッグウェーブにトライするサーフィンのように、乗るのが難しいからこそ楽しくなってくる。

おすすめ

メタル系リスナーから、プログレ・メタル好きな人まで、多くの人に受け入れられるであろうサウンド
おすすめです。

Palimpsest

Palimpsest


Protest The Hero | The Canary (Official Video)

ノルウェーの美学 The Opium Cartel 新作も美しく

The Opium Cartel

ノルウェーのバンドで、White Willowなどの人脈によるプロジェクトバンドに近い形態の The Opium Cartel。
久々の新作 Valor がリリースされたので聴いてみた。

美しく

北欧系の現代プログレらしく、憂いのある美しさが特徴的。
サウンド自体は、アップテンポな曲調が多く、寂として北欧系とは異なり、きらめく美しさがある。
女性ボーカルを主体とした曲が多く、上記のアップテンポな感じから、エレクトロ感、フォーク調と
多様なサウンドスタイルの曲が収められている。
一聴するとシンプルな美しいサウンドに聞こえるのだけれども、じっくり聞くとリズムに特徴をもたせたりと、
単純ではないサウンドに聴き込みがいを感じる。

完成度が高く

上記のように、いくつかの曲調を持つが、どのサウンドも完成度が高いとしうか、細かくプロデュースされている。
曲によっては、The Wishing Tree のような儚さも内包したような美しさもあれば、
昨今のポスト系プログレのようなミニマルな印象を感じさせる曲もある。
これらの曲がどれも、音の輪郭がソリッドで、ボーカルと各楽器がしっかりと輪郭を持っていて、聴いていて気持ちいい。

高品質なサウンド

そういった非常に高品質なサウンドを感じさせるそれ。
そこに響く各女性ボーカルが気持ちいいので、ずっと聴いていられる。
かなりおすすめな作品です。

Valor

Valor

  • アーティスト:Opium Cartel
  • 発売日: 2020/06/12
  • メディア: CD

The Opium Cartel - In the Streets