Flower kings 分派バンドによるライブアルバム The Power of TWO

分派

スウェーデンの誇るプログレバンド Flower Kings は最近めっきり活動しなくなってしまっていて、その代わりにと言うのか、メンバーによるすでにメインになりかけているサイドプロジェクトのほうの活動が活発になってきている。
そんな分派バンドで、Flower Kings そのものというべき Roine Stolt が率いるのは、The Agents of Mercy。一方で、ベーシストのJonas Reingold が率いるのが、KARMAKANIC。前者は比較的、Flower Kings の音に近いけれども、より分かりやすくしたサウンドイメージで、後者はより硬派なジャズ要素を加えたタイプ。元々、Flower Kings に内在していた要素が明確に別のバンドでやっているというところもある。

交錯

ただ、この2バンド、別に仲違いで別のバンドになったというタイプではなくて、むしろ仲良し。最近は、フェスティバルを中心に、ライブも一緒に回っている。で、その結果としてリリースされたのが、今回紹介する The Power of TWO で、アメリカの CAL Prog というフェスティバルでのライブを収録したもの。

メンバー

で、このライブのメンバーは、二つのバンドで重なっていて、実際のライブの様子を詳しく知らないから間違っているかもしれないけれども、クレジットを見る限り、ボーカルだけが二つのバンドで違うだけで、演奏は、結果的に同じメンツでやっているのだと思う。
ちなみにメンツは、以下。
　Jonas Reingold: Bass
　Roine Stolt: Guitar, Keyboard, Backing vocals
　Nick D'Virgillio: Drums
　Goran Edman: Vocals
　Nad Sylvan: Vocals, Keyboard
　Lalle Larsson: Keyboard
で、ここで注目は、ドラムが、Spock's Beard などの Nick D'Virgillio というところ。本来は、Zoltan なのだけれども、別の活動のためにお休み。そのかわりとして、Nick が代打なのだけれども、6時間のリハーサルの結果完璧にマスターしたらしい。

ライブ

収録は、最初の3曲が、Agents of Mercy からで、次の3曲が Karmakanic から（間に Lalle のキーボードソロが挟まる）、で、最後の1曲 "Afterglow" は GENESIS のカバー。しかし、Roine は GENESIS 大好きで、様々な機会でカバーしている。

完璧

演奏の方は、これはもう完璧というしかない。テクニック的にもそうなのだけれども、それだけにとどまらず、Agents of Mercy の演奏では、ボーカルを含めたファンタジックロックなユートピア世界がとても心地よく描かれていて感動的だし、Karmakanic 側の演奏では、ジャズロック的な部分を持ちながら、しかし、クールになりすぎないサウンドがただのテクニック一辺倒に陥らないよさがある。

Lalle

で、中でも注目はキーボードの Lalle。ソロもここに収められていて、そのクラシカルな要素もふんだんに取り入れた超絶ソロも相当かっこいいのだけれども、それだけではなくて、バンド演奏の中でも、アナログ系な音のサウンドから、ピアノ系の音まで、弾きまくっている。

絶賛

というところで、この作品いいです。というか、このメンツでやっているライブを生で見たくて溜まらない気分になってきます。しかし、Flower Kings としてすら来日が困難な状況では、来日は夢のまた夢なのだろうと思いつつ、願わずにはいられない。

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