英国王給仕人に乾杯 は実に見事におどけた秀作



チェコ

さて、人形劇のイメージが強いチェコですが、文化的には、フランツ・カフカなど、数は多くはないけれども、重要な人物を排出している。そんなチェコを代表する映画監督、イジー・メンツェルが、チャコを代表する作家、ボフミル・フラバルの作品を映画化した作品、「英国王給仕人に乾杯」が公開になったので、早速見に行った。シャンテ・シネにて。
ちなみに、イジー・メンツェルは、過去にも、ボフミル・フラバルの作品を映画化している。ただ、残念ながら、ボフミル・フラバルの作品の日本語は、あまりに無く、イジー・メンツェルの作品の日本でのDVD化はされていない模様。これを機に変化が起きることを期待。


作品

作品は、老人の回想の形式で、自分若き日々を振り返るというスタイル。その若き日々は、儲けることを目指す日々である一方で、社会的には、ナチスドイツの台頭があって、その影響をもろに受けるチェコという背景を生きた日々。
チェコであり、ナチスドイツが出てくると、そこはとても深刻な表現が出てきそうであるのだけれども、そこを、そう描いていないところが、この作品のすばらしさ。勿論、そこに実際にある深刻さを無視してはいけないのだけれども、そちら側にいかないところがこの映画のすばらしいところ。そして、主人公は、むしろそのような状況を、うまく生き抜けて富みを手に入れている。これを皮肉と取るのかどうかというのが、この映画の描く内容の焦点だと思う。そして、それは、回想する老人が鏡に囲まれて自分の人生を反省しているところに集約される。隙間を縫いながら、いい思いをして。一方で、強くチェコを意識して生きた人は、ドイツの民族性を強く意識して生きた人は、あるいは給仕人であることを強く意識して生きた人は。しかし、そうではなく、富を得ることに目標を描いた主人公とは。


コメディー

しかし、これが、全体がコメディータッチで実に軽く、明るく描かれている。ここが、心の緊張を解いてくれて、こういった視点に対して冷静に考える状況をうまく作りあげることに貢献している。
ガツンとやられたという感じがするのではないのだけれども、じわじわとその良さその主張が身にしみてくるすばらしい作品。


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