Artist File 2008 国立新美術館



年次イベント

国立新美術館の年次展示、Artist File の2008が現在開催中で、2008年5月6日まで。
で、いろいろとついでもあって、行ってみた。


前半戦

まずは、前半戦なのだけれども、これがいただけない、個人的な感想だけれども。まずは、どうも、コンセプトが古い気がしてならない。日常に拘泥してみたり、テキストに依存してみたり、羅列してみたり、類型的な対比をしてみたり。作品自体も、最新ではなく、結構前のものもあったり。別に新しい概念の提示に新しい作品が必要だとは思わないけれども、そもそもの概念の提示が既に何度も語られた文脈に過ぎないように思えてならない。あえて、”2008”とタイトルに入る展示にこんなのが意味があるのだろうか、って、これは、アーティストの問題と言うより、展示の問題の方が大きい気がした。


後半戦

そんな落胆があったせいか、後半は、結構盛り返してきているという印象。
完全に演じられた様子を、自然の中に配置した、少女や少年と自然を主体とした写真作品。どこか、作り上げられた演劇性や宣伝素材性のナンセンスさをついているように思うのは、きっと、思い込み杉なのだろうと思うけれど、それが作者の狙いではないとしても、そういった感覚をなんとなく感じさせるところに意味があるように思う。
暗がりに、淡々と映し出される映像。アンビエントな音と、そして、映像、何故か感情を煽られて、しかし、そもそも風景には意味もなければ、心象もないはずなのだと、ポストモダン的に主張したいのだけれども、一方で、この何の意味もない、記憶とも明確にはリンクしない風景に、何らかも感情を抱いてしまうというこの、現実。
何もない空間に、うかぶ透明の気体の入った透明の入れ物。反対に、意味を大きく損失した状態の、有機的な形状でありながら、無機的な感覚に包まれた空間。


まとめ

後半の作品にあるような、人工的なもの、感情的なもの、無機質なもの、有機的なもの、を単純な対比にしてしまわない感覚は、とても面白いし、今までの思い込みとか、刷り込みに対して、疑問符を浮かび上がらせるいい展示だと感じた。


関連リンク:
dLINKbRING.Art.国立新美術館
国立新美術館(THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO)
関連サーチ:
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