アキ・カウリスマキ：浮き雲

1.新作公開に先駆けて
まもなく公開になるアキ・カウリスマキ監督の映画「街の明かり」を記念して、カウリスマキ監督の過去の作品を再上映する「カウリスマキのあかり」が開催されているので、行ってみる。

2.敗者三部作
敗者三部作と呼ばれる作品のうち最初の作品となる「浮き雲」を今回は見てみた。ちなみに、「過去のない男」が2作目で、3作目が今度公開される「街の明かり」。

3.平凡
平凡な夫婦に訪れる小さな、しかし、何処までも続く転落。そして、その不幸が淡々と描かれる。それは、状況だけではなく、出演者の演技もまた、淡々としている。驚くべきようなところでも、淡々と状況を受け入れ、そして、必死になるようなところも、淡々と進み続ける。その演技と状況の淡々とした派手さの無い世界は、まさにカウリスマキの世界で実に心地よい表現世界。そして、その転落を受け入れながら、何とか、それでも、改善しようとする人々。そして、最後に訪れたチャンスを前に・・・。という展開。きっと、これと同じ脚本をベースにしても、別な人がとったら、過剰に演出しすぎて全くもってくだらない映画に成り下がってしまいそうだけれど、そうはならないところがすばらしいし、見ていて本当の共感に繋がる。間抜けさを内包しながらとりあえず、進んでいく事。どこかには、チャンスが在るかもしれないし、なかったとしても、進めば何らかの進展があるということ。何ともいえない、閉塞感の漂う日本にも、かなり適した映画だと思う。

4.ちなみに
ちなみに「過去のない男」は昔、見た事があって、そちらも同じような世界観の作品。ということで、敗者三部作の最後となる「街の明かり」も楽しみ。

関連リンク：
映画『街のあかり』オフィシャルサイト
 ユーロスペース | 特集上映「カウリスマキのあかり」
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