Queensryche : 東京厚生年金会館
1.Operation : Mindcrime
メタルコンセプトアルバムの中でも最高傑作の一つに挙げられるであろう名作"Operation : Mindcrime"（以下partⅠと表現する）がリリースされたのが、1988年であるから、もう約20年前の出来事。そして、Queensryche 自身の活動が紆余曲折する中、2006年に発表された" Operation : MindcrimeⅡ"。この2作品をまとめて再現するライブが今回の来日。その東京厚生年金会館での公演レポートです。
2.客層
客層的には、二つに分かれる感じで、かつてからのファンとおぼしき、少し高い年齢層。それから、比較的最近のファンであると思われるそれなりな若者。
3.演出
まずは、partⅠのアルバムの始まりに収録されているあの病院のシーンでの声が流れてライブが始まる。ここだけで一気にオーディエンスはヒートアップだから、このアルバムの強烈さを改めて認識する。そこからは、若干のアレンジを含む演奏でほぼアルバムを再現。想定外だったのは、演出がかなり凝っているというか、劇仕立てになっているところ、おもわず若干引いてしまったが、Geoff Tate とメアリー役の女性ボーカリストそれに数名によって、ミュージカルまでは行かないけれど、演技をしながらの歌唱。あれだけ演技して変な姿勢でも、しっかりと伸びるGeoff Tate のボーカルはやっぱりすばらしい。
5.Ⅱ
盛大にpartⅠ が終了して、そのままⅡが始まる。やはり、?の音は現代的。スピード感も上がり、クールさも増す。こうやって対比して聴くと、20年という時代の変化を強く感じる。とはいいながら、若干のメロディーの古さはあるものの依然として強烈な印象を残すpartⅠのその名盤っぷりをも感じたのだが。それはさておき、Ⅱは正直私自身も聴き込み足らずというか、完全にはメロディーが入っておらずで、partⅠほどは楽しめなかった。全体的な盛り上がりも、やはりpartⅠにぶがあったように思う。
6.アンコール
Ⅱが終了して、一端幕引きのあとアンコール二曲で終了。Operation : Mindcrime の演奏では、完全にアルバム再現のため、全くMCなし、だったので、アンコールになってようやく、Geoff Tate が少しMCを入れるという、まぁ、プログレ系のライブだとMCがほとんど存在しない場合が多いけれど、これほど少ないのも珍しい。
7.苦悩と怒り
"partⅠ"のあの盛り上がりって、ストーリー展開に載せて表現される、苦悩と怒りが、リスナー側に共感を感じさせるが故というところがあると思う。なぜ、これほどに、例えそれなりに恵まれた環境であったとしても、我々は日常に苦悩や怒りを溜めてしまうのだろうかと、ふと思う、勿論これはある種の人間のみのことで一般化すべきではないかもしれないけれど。そして、その苦悩と怒りの昇華としてのロック。その共感を勝ち得たアルバムであることを再認識する。
8.批判から自立へ
それから、partⅠからⅡのちがいとしてあるのって、partⅠはどちらかというと組織に対する批判とそこでの苦悩という感じで、ある大きなものに対する反発という感情に支配されていると思う。それが上記の共感にも繋がる。一方でⅡというのは、そうではなくて、自己との戦いという側面が強くなっているように思う 。そこでは、ただ拳を上げるだけではだめで、自己で選択し進まなければならない。この変化がⅠとⅡではあるように感じた。そして、それは、ある意味では時代を反映しているようにも思う。怒り任せで突っ走った80年代。しかし、多くのものが解放されて、そこで、一体どのように振る舞うべきなのかに悩む2000年代。少し、読み過ぎかもしれないけれど。
9.ドラム
また音の方に戻ると、ドラムの重要さ。 Scott Rockefield のドラムってのは、Queensryche の音への影響が大きくて、Queensryche のもつ独特の疾走感ってのは、Scott のドラミングによって強く色づけられている。
10.とにかくすごい
で、やっぱりOperation : Mindcrime の破壊力は並々ならぬものがあるというのを再認識したライブでした。
関連リンク：
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