収容所群島:ソルジェニーツィン



1.とりあえず
復刊されたA.ソルジェーニツィンによる作品、収容所群島の第1巻を読み終えてみた。スターリン時代に政治的に収容所に収監されたときの経験およびそれにまつわる資料、政治状況などを描いた作品。


2.痛々しい
収容所の状況の描写や尋問の様子の描写のが所々に出てくるのだけれど、これが痛々しいし、時には想像をあまりにも超越している。このような時代があったのだと、今の日本に生きる感覚からだとちょっと遠巻きに見てしまうのだけれど、実際には、現在においても何らかの圧政の元に不自由な生活を強いられている人々は少なくは無いのだろう。


3.ロシア人がいなくなる
この第1巻では、いかなる理由で人々が罪を着せられて収容所送りになったかについて、痛烈な皮肉とも言えるほどに詳細に記述される。このあたりを読んでいると、当時の社会状況下では誰もが逮捕されて、ロシア人はいなくなるのではないかとも思えさえしてくる。作者個人の感情もあり、より激烈に書かれているからなのかもしれないが、実際はどの程度だったのだろうかと少し気になる。それは、私が歴史の知識不足だからかもしれないけれど。


4.人間
この中で重要と思える記述は、尋問する側の態度にもある。圧制下においては、時に人は正しくないと思われる事でもその通りにするより他ない場合もあるし、冷静な感覚からするとおかしいと思う事も、それが当然であるという風潮の元では、それに異議を唱える事が出来ない場合も多い。そういった人間の側面も描かれている。やはり、頂点近くからきしみが発せられると、その下部では混乱だけが発生し、そして下部での対処が困難になる事がよくわかる。この当時の事例は極端だけれども、少なからずそういう場面には現代の日本でも出会いうる。冷静さを失わないようにしたいところ。


5.まだまだ
といことで、これから第2巻からずらずらと、先は長い。


6.ノーベル賞
ちなみに、作者はノーベル賞を受賞している。時に、ノーベル賞は激しく政治的要因で選択されるため、この事実をどう受け止めればいいのだろうかと、これは余談。


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収容所群島(1) 1918-1956 文学的考察
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