スタニスワフ・レム 「ソラリス」
タルコフスキー(惑星ソラリス)やスティーヴン・ソダーバーグ(ソラリス)による映画化のために、
もしかすると映画のほうが有名かもしれないが、
SF史上に残る名作の一つがスタニスワフ・レムによる「ソラリス」。
少し前に、スタニスワフ・レム コレクションとして、新訳化されて、前訳での欠落部も補われたいわば完全版がこの本。
久しぶりに比較的明確なストーリーのある作品を読んだというところなので、
思いの外すらすらと読めて、結構楽しめた。
また内容もうまく出来ていて、単純なSFでもなければ、思想小説でもなく、
恋愛小説でもなく、それぞれの要素をうまく配分した非常に良い作品だと思う。
論理的な展開に危うさを少し感じさせるが、むしろ、それが非常に重要な要素ともなると思う。
それによって、様々な要素がぎりぎりで繋がるというところは、
未完成ながらも完成度を誇るカフカ作品に通じるところがあり、
その要素の重要さは、カフカが既に証明済みのところ。
またソラリスという存在が様々な意味でメタ的であるというところも見逃せない。
レムの他の作品はあまり読んだことがないので、そちらの方も是非読み進めたく思った。