「アワー ミュージック」 ゴダール

ゴダール監督の新作 「アワー ミュージック」が
有楽町 シャンテシネで10月15日より公開。
早速見て参りましたが、これは久々にすごい映画です。
タイプは違いますが、受けた衝撃のレベルという意味では、
散歩する惑星」以来の衝撃的なすごい作品。
ネタバレ避けて詳細は省きますが、映画の可能性の突端に迫った作品というべきもので、
映像と音楽と言葉を巧みなずれの中に配置しながらイメージとフィクションとノンフィクション
を絡めながら、探求の中に滑り込ませていく作品。
この表現ははっきり言って、映画にしかできないもので、でありながら一方で
音楽的な要素と文学的な要素がまじりこませるあたりはすごいという言葉しか出てきません。
そして、その問いかけることの重さ。
この映画の中にあるずれは、まさに現実に対する苦悩であって、
しかし、そこに道を見ようとする行為そのものであると思う。
様々なものがここでは交錯する。
経済の現象の中に浮き足立つ現実を生きている現在の我々の様子。
それは、それで致し方ない現実ではあるが、
その現実に対して、しかし、他にも考えるべきもの、視点があるではないかと
ひっそりとアピールする作品と私には感じられた。
これだけ真摯に現実に向かっていこうとする姿そのものにも感銘を受ける。
現実の中に空虚感を感じることが人が多くなったこの現代において、
そこで、より空虚になっていっているのは個人そのものでもあり、
しかし、この映画はその空虚をしっかりと埋めようとする姿がある。
感じるところが多すぎて文章がとりとめもなくなってしまいましたが、
これはいい作品です。
(ただし、物語性が拒否されているため、若干難解です。
 映画館での睡眠者が異常に多かったという印象。)

ゴダール(AMAZON)