哲学的SF作家スタニスワフ・レムの短編集
スタニスワフ・レム
映画化などもされて有名なソラリスをはじめとして、数々の名作SF小説で有名なスタニスワフ・レム。レムの特徴としては、単にエンターテインメントなSF要素だけではなく、その仮想世界における生命の動きを通して、より深く人間や世界を洞察する作品を残しているところにある。そんなスタニスワフ・レムの短編を集めた作品「短篇ベスト10」が、図書刊行会より、ながらく完了しないシリーズとして展開されているスタニスワフ・レム・コレクションの一刊としてようやくリリースされたので読んでみた。
もともとは
もともとは、海外では15編ほどの短編集として出ていたもののようだけれども、日本では、既出の作品などもあることから、10篇に編纂されての出版となっている模様。幅広く
作品としては、幅広い印象。科学的な仮説をベースに面白く仕立てた作品や、世の中の統治機構について言及するようなそれ。生命とロボットとの関係性であったりとか、宇宙旅行における現在と過去・意識とは何かだとか。やはり
やはり、短編小説でも、レムの作品力が光っていて、SFとしての場面設定の科学的深さに加えて、その場面におけるさまざまな行動描写を通して、人間の深みに迫るあたりは、さすが。というか、むしろ短編というフォーマットであるがゆえに、よりその深みが出ているといってもいいだろう。短編というのはどちらかというと、長編に求められる世界の完結性が緩くなってくることにより、余白が大きくとられていて、そうであるがゆえに、世界の完結性よりも、仮説の飛び石的面白さが重視されるものであると思う。
であるがゆえに、レムの持つ深く自由な発想がより明確に感じられるといってもいいだろう。
挑戦
ということで、レムの作品は少し難解な要素もあるけれども、文学としての深みを楽しめるそれなので、ぜひとも挑戦して多くの人に読んでいただきたい逸品です。関連リンク:
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