Pendragon の Love Over Fear は兎に角優しい

Pendragon

イギリスのバンド Pendragon。Marillion らと並び、プログレ第2世代 ポンプロックと呼ばれた世代を代表するバンド。
この時代のバンドは、軒並み当初のサウンド傾向から大きく変化を遂げ独自の世界を作り上げていて、例えば、上記のMarillionはその代表格。
で、この Pendragon もそうで、当初は、寓話的な世界観がジャケットにも色濃く現れたファンタジックロックであったが、
そこから、変貌を遂げ、当初の色合いは残しながらも、さらに物語性を深めたコンセプチュアルで深い感情が籠もる作品を作り続けている。

Love Over Fear

その彼らの2020年新作 Love Over Fear。リリース当初から非常に話題をさらい、名作との声が高い作品。
そんな噂の作品を聴いてみたのだが、そのとおりで、これが素晴らしい。
ある意味このタイトルがそのまま作品をまさに表している。
序盤から、非常に優しい柔らかいメロディーの作品が続くが、
この優しい感じが、Nick Barret の独特な張りがあるけれども丸い声質にぴったりと合い、世界観が広がる。

少しの激しさと影と

一方で、後半では、少し陰りのあるサウンドもはさみながら、かつ、ギターソロが駆け回る耐え忍ぶような感情を引き立てる。
このサウンドの落差をつけることで、先述の、ときにアコスティックなサウンドで作り出される優しさが際立つ。
シンフォニックでありながらも、ときにリリカルに心地よい Clive Nolan のキーボードサウンドも当然聞き所です。

傑作

こういうのいいですね。こういうストレートにハートフルなサウンドってかえって、作りにくいのではと。
シニカルで戦闘的なもののほうが表現したくなる側ではあるのだけれども、Flower Kings とならび、
ファンタジックでユートピアな世界を正面から描き続ける彼らもまた、非常に貴重な存在。
兎に角いい作品なので、是非聴いてください。

Love Over Fear -Ltd-

Pendragon- Love Over Fear - Teaser clip